博雅会 東北雅楽慰問演奏活動について

博雅会ではこれまで、東日本大震災の被災地にて雅楽の演奏を届ける活動を5回に渡り実行してきました。 (2013年9月現在) 雅楽は、世界最古の演奏様式である伝統音楽として知られ古来より親しまれている音楽ですが、 古くから大きな災害がこの国を襲った際にも、鎮魂の意味で演奏されてきたという歴史があるのです。
東日本大震災から二年半が経ちました。 震災以来、日本中の誰もが「自分に出来ることは何だろうか?」と考えたことでしょう。 もちろん我々も考えました。博雅会メンバーの中には僧侶や神職その他宗教関係者の友人がたくさんおり、 彼らが震災後真っ先に被災地に入り活動する様子を知りました。そんな時、ある博雅会メンバーの一言がきっかけで東北に雅楽の慰問演奏に行く事を思いついたのです。
震災後半年が経って、ボランティアに行っていたメンバーから話を聞く機会がありました。その話は「半年が経過し被災地の皆さんの求めているものが変わってきている」といった内容でした。今必要とされているものは心のケアだ、そしてそのメンバーは「東北で、我々が一番得意とする雅楽を演奏しませんか?」と言いました。我々は何も出来ません。でも雅楽なら演奏出来る、いや、私がやるべきことは雅楽を通じて鎮魂の音楽を被災地に捧げることだ、と確信しました。
それ以来、 第一次(2011年11月)宮城県気仙沼市、 第二次(2012年2月)宮城県山元町、 第三次(2012年3月)・第四次(2012年5月)・第五次(2013年2月)福島県南相馬市、 と5度に渡り活動を続けてまいりました。第三次以降は福島県南相馬市を拠点に活動しています。 演奏のみならず、写真のように仮設住宅に伺い、救援物資の配達などのボランティアも行っています。
被災地の皆さんに雅楽を聴いていただき少しでも心の慰みになれば、そして犠牲者の方の御霊を鎮めることが出来れば、と思い演奏を続けてまいりました。一度きりでは何も起こらなかったのでしょうが、5度続けていくうちに現地で私たちの活動を支援して下さる方も出てきました。 実際、雅楽を演奏すると、年配の方の中には演奏中に我々に手を合わせていただくことがございます。おそらく、雅楽が奏でる悠久の音と舞に宗教的な何かを感じていただいているのではないかと思います。もちろん、涙を流していらっしゃる方もおられます。
雅楽には、心の奥に染み入り、心を落ち着かせるような不思議な力があり、それは当初は儀式等に使用される音楽であったこととは無関係ではないと思います。そして、雅楽は歴史の中で儀式において奏でるものから、最近は儀式音楽のみならず広く民衆の方に聞いていただく機会も非常に増えました。 今こそ、多くの方々に雅楽の音と舞を通じて、心の平安を得ていただきたいと強く思っております。雅楽を演奏する団体として、何としてもこれからもこの活動を続けたく思っています。

第六回目の東北慰問演奏は、2013年10月28日~30日を予定しています。
もし一緒に行ってみたい!という方がおられましたら是非にお問い合わせくださいませ!